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Difficult to Cure / Rainbow

今週のお題「私の年末年始」というわけで、年末といったら第九、もちろんハイドンとかではなくベートーヴェン。自分もこの時期にはなんとなく手持ちの第九をあさってみたりするものである。

といった感じに書き出してみたものの、どうせタイトルで思いっきりネタバレしてますね。

 

 

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1981年2月3日リリース。ジャケットのデザインはHIPGNOSISにより、英米で文字の配置が異なる(写真は米国盤)。

お医者さんたちはHIPGNOSIS関係者のコスプレで、ピーター・クリストファーソンやストーム・ソーガソンも混じってたりするらしい。

 

前作から例によって例のごとくメンバーチェンジがあり、まず伝説的なモンスターズ・オブ・ロックの後コージー・パウエルがボビー・ロンディネリにバトンタッチ。

前任者と比べられるせいかどうにも地味な感が拭えないドラマーだけど、安定感抜群できっちり仕事をこなすタイプである。頭髪もボリューム満点であり、ついでにBLUE ÖYSTER CULTのドラマーとしても有名(俺内部で)。

また制作途中グラハム・ボネットがどっか行ってしまい、急遽オーディションで選ばれたジョー・リン・ターナーが歌をかぶせて完成にこぎ着けたようだ。

それゆえに収録曲のキーはグラハムを想定したものになっており、ジョーが歌うには少々高いという問題が残された。つまりこのアルバム後のツアーでは自分のキーにあわせて作られた曲がなかったわけで、難儀な話である。

ただしこのアルバムに関してだけ言うならば、この全体的に高めなキー設定はジョー・リン・ターナーのハスキーな声質をリスナーに印象付け新たなファン層を開拓するうえでむしろ効果的だったのではないだろうか。

 

アルバムはこれまでよりポップス志向になったということで、当時わりと賛否両論だったようだ。なんか来日公演ではステージにトイレットロールを投げ込んだやつがいたとかいう話も聞くし。しかもリッチーがそれを拾い上げて客席を睨みつけたとか、自分は小心者なんでその場にいたら緊張してしまってもう演奏を聴くどころじゃないと思う。

実際これまでよりコーラスが多用され、外部ライターによる2曲が特徴的なためそのような印象を受けやすい。

だが改めて収録曲を眺めてみるとその2曲が突出しているだけで、前作"Down to Earth"からそこまで急激に音楽性が変化したというほどでも無いんじゃないだろうか。

 

前作につづきラス・バラードの楽曲A1"I Surrender"がひとつの目玉となっており、目論見通り一定の成功をおさめた。特に英国ではシングル・チャート3位まで上り詰め、バンド最大のヒットとなった。しかしこの曲は前作の"Since You Been Gone"につづいて、先にHEAD EASTが取り上げた曲をかっさらう形になっていたりもする。まあリッチーがHEAD EASTを知っていたかどうかすら怪しいんですけどね。

ラス・バラードはこの時期ソングライターとしてノリにノッていて、この年にはSANTANAが"Winning"をカバーしてヒット、翌年には自身がプロデュースもおこなったAMERICAの"You Can Do Magic"等けっこうな活躍ぶりである。

もう一方の外部ライターによるA4"Magic"はRAINBOW史上もっともポップな楽曲である。"Since You Been Gone"が音的にはそのままだったのに比べると、この曲ではより本腰を入れてポップな音作りに取り組んだことが伺える。結果論ではあるが、後の2作から考えるとここでわざと大きくポップス側に踏み込んでみることで、RAINBOWとして取り組めるぎりぎりのラインを測っていたんじゃないだろうか。

ところで作曲者のブライアン・モーランって他でまったく名前を見ないんだけど、どういった経緯で採用されたんだろう。

 

このアルバムは名キーボーディスト、ドン・エイリーが参加した最後のアルバムでもある。

RAINBOWはもともとあまりキーボードの比重が大きなバンドとは言えないが、これまでのアルバムと比べると活躍の場が増えたように思う。後任のデイヴ・ローゼンタールが才能を発揮する下地を作ったとも言える。

ロニー・ジェイムス・ディオ時代の"Kill the King"やグラハム・ボネット時代の"Lost in Hollywood"等と比肩する名曲A2"Spotlight Kid"においても、ドン・エイリーは中盤にYAMAHA CS-80を用いたダイナミックでありつつもコンパクトにまとめた秀逸なソロを披露している。

 

 

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いい感じに小道具が配置された歌詞付きインナー。痛そう(小並感)

 

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米Polydor PD-1-6316。レーベル左側、"SIDE 1"の文字の下に小さく"26"の表記あり。コンプトンにあるプレス工場で生産された印らしい。マトリクスの末尾は両面とも"-1"で、機械打ちの"STERLING"表記の脇に小さく"gc"と読める文字が書き込んである。マスタリングを担当したグレッグ・カルビのサインだろう。

英オリが独自デザインなことを考えると米オリはあんま面白みのないレーベル。

 

Rainbow - Difficult To Cure (Vinyl, LP, Album) at Discogs

今のところ英オリに出会えていないので確証はないけど、UK盤とUS盤では別マスタリングっぽい。

 

 

さて、アルバムの終曲B4"Difficult to Cure"は第九の有名なあれをアレンジしたインストである。ベタ中のベタといえる選曲なものの、リッチーの堂々たる演奏で押し通すさまはさすがの一言。ちなみにライブではこのアルバム以前から演奏していたっぽい。

 

また、この曲にはレコードならではのギミックが仕込んである。最後の笑い声はRun-Off部分にまで刻まれており、再生を止めない限り延々とループするようになっているのだ。

こうした仕掛けは有名どころだとビートルズのサージェント・ペパーズとかフロイドの原子心母にあったりした。もちろんCDでは普通にフェードアウトする。

 

 

なんか今月に入ってからこのアルバムが国内盤紙ジャケでリイシューされてたのだが、SACDSHM-CD、プラチナSHMの3種類同時発売とかいう自分の理解の範疇を超えた状態になっていた。

もはやCDでもない高音質ディスク“プラチナSHM”は広まるか? 日経トレンディネット

プラチナSHMってなんぞ?と思ったらこんな記事が。あっ・・・(察し)

 

 

Difficult to Cure

Difficult to Cure

  • Rainbow
  • Rock
  • ¥1500

なんかもうこっちでいいや。でもこっちはこっちでジャケット画像もうちょっとどうにかならんのかね、このアルバムに限った話じゃないけど。