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Rainbow Rising / Blackmore's Rainbow

LP #Polydor #Oyster

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1976年5月17日、英Oyster (Polydor) リリース。

プロデュースはマーティン・バーチ。ジャケットのイラストはKISSとかMANOWARを手掛けたケン・ケリーによる。

 

1stアルバムの制作後、リッチー・ブラックモアロニー・ジェイムス・ディオはELFのメンバー3人を解雇、新たにコージー・パウエル(dr)、トニー・カレイ(Key)、ジミー・ベイン(b)の3人を雇用してツアーとアルバム制作に取り掛かるのであった。

 

JEFF BECK GROUP及びBEDLAMでミッキー・モストのRAKレコードと契約、ソロ名義ですでにいくつかのヒットを放っていたコージー・パウエルは、技巧以上に持ち前のセンスを活かしたケレン味たっぷりなプレイで聴かせるタイプのドラマーである。

人選としてはドンピシャであり、このアルバムにおける強烈なプレイで男の子のハートをガッチリとつかむことに成功した。

 

トニー・カレイはこの後ソロやPLANET P PROJECT名義で活動し、80年代を通してアメリカでわりとコンスタントにヒットを飛ばし続けたキーボーディスト。そういった意味ではむしろRAINBOWより成功してたりしないだろうか。

 

ジミー・ベインはTHIN LIZZYのメンバーと交流があったりロニー・ジェイムス・ディオDIOに参加したりするので、HR/HMのリスナーには比較的馴染みのあるベーシストだろう。

そのプレイスタイルは名前とかけてしょうもないダジャレを言いたくなる類のもので、ロジャー・グローヴァーの重用され具合や次作"Long Live Rock 'n' Roll"でリッチー自ら弾いたベースから考えるとわりと妥当な人選なんじゃないかと。

それとこの人は貴重な「歌える」コーラス要員でもあった。後のWILD HORSESではリード・ヴォーカルも担当していたりする(歌声もパッとしない)。まあ後釜のボブ・ディズリーも映像を観る限りやることはやってたんですけどね。"Do You Close Your Eyes"でロニーが間違ってベース側マイクで歌い始めたもののろくに音拾えてない、みたいな一幕もあったけど。しかしさらなるメンバーチェンジ後のモンスターズ・オブ・ロックではロジャー・グローヴァーとドン・エイリーがいちおう担当しているもののお察しくださいな感じで、結局ジョー・リン・ターナー時代に入ってからバンドは女性コーラスを導入することになる。

 

 

アルバムはA面からリフメイカー、リッチー・ブラックモア面目躍如たる楽曲が並ぶ。

個人的にスタジオ作品でリッチーがバッキングにまわった時のプレイ及び音色って好みのものが多いのだが、そういった観点からいっても非常に美味しいアルバムである。

また約8分間にわたって走り続けるB2"A Light in the Black"におけるリッチーのバッキングとコージー・パウエルのプレイにはプリミティブな快感がある。

アルバムタイトルはメンバーを一新し本格的に活動を開始したことに対する意気込みを反映しているのだろう。しかしそれだけに収まらず、ジャケットイラストの雰囲気や歌詞と絡めてバンドを一つの世界観のもと壮大に演出してしまった名曲がB1"Stargazer"である。ジャケット見開きにはアルバム中この曲のみ歌詞が掲載されており、力の入れようが伺える。ロニー・ジェイムス・ディオはたんにヴォーカリストとしてだけでなく、こういったイメージ作りが非常にうまかった。

 

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ゲートフォールド・ジャケットの見開き。上記のとおり"Stargazer"の歌詞入り。

 

 

前作はサウンド的にどうにも煮え切らない面があったが、このアルバムで一気に化けた。これはメンバーチェンジ以上にリッチーとロニーがプロデュースから退きマーティン・バーチに一任、音作りの方向性をより明確に定めたことによるものだろう。

 

以下はあくまで推測というかむしろ妄想なのだが、わりと全体的にヴォーカルを響かせることに重点を置いたミキシングになっているんじゃないだろうか。そのため各楽器の音は中低音の厚みがけっこう削られており、ベースに至ってはすみっこに追いやられてしまっている。キーボードに関してはそもそもアンサンブルの一員というよりは楽曲の演出担当みたいな側面が強いので扱いが異なるけれど。B1"Stargazer"はとくにその傾向が強く、曲中の情景を象徴するかの如くロニーの声が響き渡る一方でベースはもはやろくに聴こえない。

以前国内盤ライナーノートかなにかで「ベースがドラムにかき消されている」的な書かれ方をしているものを読んだ覚えがあるが、そうじゃなくてミキシングの問題、つまりある程度意図的な操作の結果なんじゃないかと。ドラム自体派手に演出されてはいるものの音的には十分割りを食ってる感じだし。

正直このアルバムでのジミー・ベインについてああだこうだ言うのは、某メタル・ジャスティスを引き合いに出してジェイソン・ニューステッドのプレイに文句をつけるのに近いものがある。その一方で"Trio"におけるビル・ブラッフォードのプレイは(ry

しかし結果的には、ギターやドラムの中低音が削られたことにより鋭く洗練されたサウンドになり、後のヘヴィ・メタルとも通じるある種の普遍的なかっこよさが得られたんじゃないかと。マーティン・バーチはこの後またしばらくは厚みがあってちょっともさっとした感じの音作りに戻っていたものの、80年代に入るとこの研ぎ澄まされた「かっこいい音」でもってIRON MAIDENの傑作群を手がけることになる。

1976年はLED ZEPPELINの"Presence"やBLACK SABBATHの"Technical Extasy"といった、後のメタルに通じるとか書きたくなるサウンドのアルバムが相次いでリリースされた年でもあった。

あと書き忘れたけどB2"A Light in the Black"のバスドラは明らかに他の曲より優遇されていて俺得。

 

 

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手持ちは国内再発盤(MPX 4024)、どうやら1980年あたりのものらしい。たしか後々リリースされたSHM-SACDもこの盤と同じマスターを用いて制作されたはず。

そのうち英オリ欲しいなーと思ってはいるんですけどね……

前作ではRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW名義、今作はBLACKMORE'S RAINBOW、そして次の"On Stage"でRAINBOWと、だんだんバンド名がシンプルになっていく。

あとタイトルはレーベルもジャケットの背も"Rainbow Rising"なんだけど結局"Rising"で定着しちゃった感がある。

 

 

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そういえば帯は無いけど国内盤インナーは付属していた。ずっと昔に一度だけ目を通したような記憶が(←記事書く前に読んどけよ)

確認したわけじゃないけど、帯にもこのロゴみたいなものが入っていたんじゃないだろうか。そしていかにも廉価盤くさい。

 

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ついでに、この盤が入っていた「東京レコード」なる外袋。こういった店名とかメーカーのロゴが入ったレコードアクセサリーってなんとなくコレクションしたくなる。

 

 

 

Rising

Rising

 

"Rising"のデラックス・エディションには、ミキシングの異なる2種類のアルバム本編(New York MixとLos Angeles Mix)が収録されている。

NYがオリジナルリリースと同じ感じのミックスで、LAの方はもうちょい各楽器をまんべんなく鳴らした感じのミックスになっている。もちろんベースもちゃんと聴こえるっていうかむしろベースの音がでかい。

このあたりの経緯についてはさっぱりわからんのだが、オリジナルリリースのマスタリングはニューヨークのSterling SoundとMasterdiskで行われているので、NY Mixってのはこれのことでいいんじゃないかと。LA Mixの出自がいまいちわからんのだが、1999年のリマスター版登場以前に日米でリリースされたCD(及び同じマスターからプレスしたLP?)に使用されていた別ミックスと同一のものだと思われる。NY Mixのまえに制作してボツになったマスターを間違って使っちゃったとか? そんな流れで別ミックスとか別テイクが世に出ることってたまにあるけど。

っていうか自分はそもそも別ミックスのCDを未聴なので確認できないんですよね、残念。

 

 

なぜか日本語字幕つきな当時の映像。テレビで放映されたんだろうか。

音悪いし断片的だけどコージーのドラム・ソロやギター・クラッシュが観られる。