Walton: Façade, Suites & Lecocq: Mam'zelle Angot

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ウィリアム・ウォルトンの『ファサード組曲』とシャルル・ルコックの『アンゴ夫人の娘』を収録。

 

 

ウォルトンはブリテンヴォーン・ウィリアムズと並び20世紀イギリスを代表する作曲家であり、オラトリオ『ベルシャザールの饗宴』やローレンス・オリヴィエ監督・主演によるシェイクスピア映画のサウンドトラックで有名。あと映画『空軍大戦略』クライマックスの空中戦で使用された音楽もこの人が手掛けたらしい。

ファサード Façade』は1922年に作曲され、彼が最初に成功を収めた作品である。

元々はイーディス・シットウェルの詩に基づく室内楽作品であったが、このレコードに収録されているのは後に編曲された組曲版1番と2番からの抜粋である。ちなみになぜか曲順が混ぜこぜにされている。

聴いた限りでは、チャイコフスキーのバレエ組曲や映画音楽を思い起こす、明快で親しみやすいメロディの小曲が揃った作品となっている。原曲は歌付きなこともあってだいぶ印象が異なりそうなので、そちらはそちらで聴いてみたい。

同時に、この曲(と詩)はかなりのユーモアが織り込まれた作品のようであり、頭のいい人が「わかる人にだけわかればいいや」とばかりにネタを散りばめたような印象を受けもする。自分はわけもわからず表面をなぞっているだけ(実際にはそれだっておぼつかない)なので、この曲が本来持っている魅力や面白みにはさっぱり迫れていないだろう。

 

 

ルコックは19世紀フランスのオペレッタ作曲家であり、1856年にオッフェンバック主催のコンクールでビゼーと1位を分かち合ったことで知られる。

『アンゴ夫人の娘 La Fille de Madame Angot』は彼の作品のなかでも特に成功したもので、当時数百日に渡って連続公演が行われたらしい。浅草オペラの演目に入っていたとかいう話もある。

ここに収録されているものは、1943年にレオニード・マシーンの翻案(とおそらくは振り付け)、ゴードン・ジェイコブのアレンジ及びオーケストレーションによって制作されたバレエ版を、さらに編曲した組曲版である。ややこしい。

バレエ版が作られた際にタイトルが"Mam'zelle Angot"とドイツ語表記になり、組曲でもそれが踏襲されているようだ。

 

 

演奏はアナトール・フィストゥラーリ指揮ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団 Royal Opera House Orchestra。前にポップスの分野でバンド名とか表記するときにはアルファベット大文字で統一するって決めたけど、クラシックの楽団とかはどうしよう(ということを前にも書いた気がする)。

同じ演奏家、同じ曲目で1957年録音、1959年リリースのRCA盤が存在するので、再録とかがなければそれがオリジナルだろう。RCA盤は1966年に同社の廉価レーベルであるRCA Victrolaから再発されていて、近年ではClassicレコードから重量盤での再発も行われていたりする。

 

 

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米London、STS 15191。盤自体は英国ブレス。

Deccaレコードの"Ace of Diamonds"や"Eclipse"に相当するLondonレコードの廉価シリーズである"Stereo Treasury Series"(たんに"Treasury Series"と表記される場合も)の一枚。

これらのシリーズは1965年頃からスタートしているはずだが、この盤は70年代のDecca/London特有な小レーベルになっているので、1970年以降に製造されたものと思われる。

マトリクスは"ZAL-10336-1W"/"ZAL-10337-2W"となっている。

 

ジャケットには数ヶ所セロテープが貼り付けてあり、どうやらレコードがこぼれ落ちないように取り出し口を留めてあった名残のようだ。

他に値札シールも上から嫌がらせのごとくセロテープが貼り付けてあったのだが、こちらはシール剥がし剤を使って丁寧に作業したら跡を残さずに処理することができた。うまくやればセロテープでも十分いけることが確認できたので、残りもそのうち処理するつもりである。

 

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ついでにLondonの内袋。このデザインの内袋は1960年代半ばからDeccaがPolyGramに買収される1980年頃まで使われ続けた。

 

 

ファサード第1組曲』からなにやら聞き覚えのある感じの1曲。とりあえずこれを聴けば、この作品がどういった性質のものかなんとなく察しがつくんじゃないだろうか。

そういえば『動物の謝肉祭』にはバーンスタインがナレーションを入れた録音があったけど、『ファサード』にはウォルトンの夫人がナレーションを入れた録音があるらしい(未確認)。