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Selling England by the Pound / Genesis

LP #Charisma

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Selling England by the Pound / Genesis (1973)

A1: Dancing with the Moonlit Knight
A2: I Know What I Like (In Your Wardrobe)
A3: Firth of Fifth
A4: More Fool Me (Vocals Phil)
B1: The Battle of Epping Forest
B2: After the Ordeal
B3: The Cinema Show
B4: Aisle of Plenty

Phil Colins: Drums, Percussion, Vocal
Michael Rutherford: 12-string, Bass, Electric Sitar
Stephen Hackett: Electric Guitar, Nylon Guitar
Tony Banks: Keybords, 12-string
Peter Gabriel: Vocals, Flute, Oboe, Percussion

Produced by: John Burns/Genesis
Assistant Engineer: Rhett Davies

 

1973年9月リリース。

イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、GENESISの5thアルバム。

イギリスで3位、アメリカで70位のヒットを記録、さらにシングルカットされたA2"I Know What I Like"もヒットしている。

 

プロデュースはバンドとジョン・バーンズで、1973年8月にロンドンのIsland Studiosで制作された。

エンジニアとしてレット・デイヴィスも参加し、前作までと比べて格段に録音が良くなっている。

 

フィル・コリンズスティーブ・ハケットが加入した3rdアルバムの段階ですでに作曲・演奏能力ともに高いバンドではあったが、今作から次作"The Lamb Lies Down On Broadway"にかけての成長ぶりには目覚ましいものがある。

またトニー・バンクスはこのアルバムからシンセサイザーARP Pro Soloist)を導入、アルバムのサウンドに違和感なく溶けこませている。

反面メロトロン分は前作までより控えめになっているが、次作はとびっきりのメロトロン・アルバムなのでご安心を(誰に言ってるんだ)。

 

ジャケットにはベティ・スワンウィックの"The Dream"という絵を用いており、A2"I Know What I Like"の歌詞に合わせて芝刈り機を描き加えてある。

 

 



A1"Dancing with the Moonlit Knight"

ピーター・ガブリエルの独唱で幕を開ける、演劇的な楽曲。

いかにも英国っぽいキーワードが散りばめられ、アルバム・タイトルの"Selling England by the Pound"というフレーズも登場する。

バックの演奏はヴォーカルにあわせジリジリと盛り上がっていき、一気に弾けてインストパートに突入する。

このアルバムは前作までとくらべてインストの比重が大きくスティーブ・ハケットにもスポットが当たる機会が多いが、そのなかでもこの楽曲における激しいプレイは特筆すべきものである。

 

A2"I Know What I Like (In Your Wardrobe)"

GENESISにとって初のヒット・シングル。シングル版はイントロがカットされフェードアウトも早い。それとこのシングルのB面は隠れた傑作である"Twilight Alehouse"だった。

マイク・ラザフォードのクレジットにあるエレキ・シタールはこの曲で使われている。

 

A3"Firth of Fifth"

トニー・バンクス渾身の凝りに凝ったイントロから一気に引き込まれる名曲。

中盤はスティーブ・ハケットの見せ場で、メロトロンが加わり特に盛り上がる箇所ではエレキベースではなくベース・ペダルが演奏されている。

GENESISはわりとベース・ペダルを活用するグループで、低音域までしっかりでるシステムで再生するとよく響いて聴き応えがある。

 

A面ラストの小曲A4"More Fool Me"はフィル・コリンズがリード・ヴォーカルをつとめ、ピーター・ガブリエルはコーラスにまわっている(フィルが一人で重ねてるだけかも)。

フィルがリードをとるのは3rdアルバムの"For Absent Friends"以来か。 

 

B1"The Battle of Epping Forest"

ピーター・ガブリエルの偏執的な一人芝居が強烈な楽曲。

フィル・コリンズのドラムとマイク・ラザフォードのベースが本領を発揮し、演奏をぐいぐいと引っ張っていく。さすがにライブではキツかったようだが

歌詞はギャングの抗争をコミカルかつグロテスクに描いたもので、オチも完備。

 

なんとなく「繋ぎ」っぽいインストB2"After the Ordeal"は、後のスティーブ・ハケットのソロアルバムに通じる雰囲気があるこのアルバムのなかでも特にハケットっぽい曲。

この曲の収録をめぐってハケットと他のメンバー間で対立があり、それが最終的にはハケット脱退に繋がっていったという話もある。

 

B3"The Cinema Show"

この曲もフィル・コリンズのドラムが大活躍し、中盤以降トニー・バンクスARPシンセによるソロの裏でやたら細かく叩きまくっている。このソロがまたたまらない。

トニーの裏でフィルがバンドを牽引していくというのは"Supper's Ready"や"In the Cage"と共通で、このバンドの必勝パターンと言えるものだったりする。

ライブでもハイライトとして演奏され、1977年のライブアルバム"Seconds Out"にはフィル・コリンズとサポートのビル・ブラッフォードによる壮絶なドラム・バトルの模様が収録された。

歌詞自体はロマンティックだが、楽曲が収束し終曲B4"Aisle of Plenty"に移行していく様はまさに「夢から覚める」ようである。

幕が閉じればそこはイングランドが量り売りされる現実、スーパーの用務員通路で一人嘆く、といったところだろうか。

 

"The Cinema Show"から"Aisle of Plenty"への流れは、共通のメロディが登場するA1"Dancing with the Moonlit Knight"のイントロと対になっている。

つまり、アルバムはアイロニカルに現実を歌ってから「さあ踊ろう」となる"Dancing with the Moonlit Knight"で幕を開け、"Aisle of Plenty"で現実に引き戻されて終わる、とか言えなくもない。

 

 

このアルバムの英国初回盤ジャケットは、E.J. Day Groupの印刷によるもの。

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歌詞インサートも初回は厚紙だが2nd以降はより薄手のものになり、色合いも数種類あるようだ。初版には一部インナー・スリーブの盤も確認されている。

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初回のインサートは濃緑と言われているが、手元にある現物を見てもたんに暗い色という以上のことはわからず、正直いろいろ疑ったりしていた。

しかし今回撮影したものを画面で見てみたら、たしかに緑だった。でも現物はここまで緑じゃないです。

 

 

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英Charisma、CAS 1074。

ラージとかビッグと呼ばれるタイプのマッド・ハッター・レーベル。

  • マトリクス "CAS 1074 A-1U" / "CAS 1074 B-2U"
  • "PORKY-RAY" / "PECKO"のクレジット

 

例によってジョージ・ペッカムのカッティング。

加えて裏ジャケットの"E.J. Day"とマトリクスから判断して、英オリの範疇に入る盤で間違いないかと。

 

この盤はわりと溝が傷んでいてサーフェイスノイズと強音部分での音割れがひどく、最初にDENONのDL-103Rで再生した際にはとてもじゃないが聴けたものではなかった。

普段は70年代イギリスのオリジナル盤なんて指をくわえて見ているだけな自分がそれなりに覚悟を決めて購入した盤だったので、心理的ダメージはお察しください。

その後SHUREのM44-7でしっかり針圧をかけて再生するとそこそこ聴けることを発見、繰り返し再生した後ふと気が向いて再度DL-103Rを使ってみたところ案外聴けるようになっていた。

最初の状態を録音しておいて比較したわけではないので確かなことは言えないけど、コンディションの悪い盤でも針先や針圧の異なるカートリッジで繰り返し再生していると多少は改善される場合がある、というのはありうる話かも知れない。もしかして: 耳が慣れた

 

正直に言って、盤のダメージからくる劣化を差し引いて考えても、録音が良い割にはこの英オリはくぐもった音になっていると思う。まあそれが英国らしい魅力だと言えないこともないが……

自分はスタンパー番号の見方まではよくわからないのだが、仮にこの盤がEMI系の"G.R.A.M.O.P.H.L.T.D."で番号が打たれているとすると、A面は10番代、B面は20番代とそれなりに進んでいる。このあたりにも原因があるだろうか?

ただ、そもそもこのアルバムは英オリよりも適当な国内盤とかの方がバランス良かったりするという話もある。

 

 

Selling England By the Pound

Selling England By the Pound

 

2008年に1stアルバムを除くピーガブ時代のアルバムが、マルチトラック・テープから新たにミキシングを行いリイシューされた。

1994年のリマスターも悪くなかったけど、これらのリミックスはさすがによく出来ていて一聴の価値がある。

特にこのアルバムは元々の録音が良いので効果テキメンといったところ。

 

Selling England By The Pund <Blu-Ray Disc/Audio Only>

Selling England By The Pund

 

こちらはマルチチャンネルも収録したBlu-ray Audio盤。

このリミックスはハイレゾとマルチチャンネルを想定して制作されているので、こっちを聴けるならそれに越したことはないと思う。

正直今からSACDを買うよりフォーマットの寿命も長いんじゃないかと思うけどどんなもんだろう。

 

 

YouTubeでGENESISを検索したら、THE GENESIS PIANO PROJECTとかいうピアノ二重奏の動画があった。